大手法人(1,000名以上)向けPC の営業とは?(民間企業編)(1)購入方法、社内政治


ThinkPad
clel / Pixabay
ITの技術的な話から少し離れたことを書きますね。シリーズ化して書くつもりです。

私はプロフィールの経歴でも書いたように、レノボ・ジャパンというコンピューターメーカーに5年8ヶ月在籍して、大手法人向けのアカウントSE(プリセールスSE)をしていました。

アカウントSE(プリセールスSE)の仕事に関してピンと来なければ、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。分かりやすいですし、なかなか読み応えのある内容です。
営業のような名前ながら最新技術や事例に詳しく、タダ(?)で相談に乗ってくれる「プリセールス」という職種がある。仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリストの小川大地氏が、なかなか姿を見せない“レアキャラ”の実態、そして日本のITインフラの「ここが変!?」な部分をさっくりと説明していく。
私が経験した、営業現場のことを数回に渡って書きますので、知らない人にとっては、なるほど~という点があるでしょうし、これから同じようなお客様向けに事業開発する場合などにも参考になって、情報収集(リサーチ)する手間を省けるかもしれません。

今回のシリーズでは主に民間企業が対象です。

大手企業の PC はどうやって購入される?

PC業界の人にとっては、常識ですが、9割以上が情報システム部門が窓口になり、競合各社で、価格を競わせながら、各社のPC を実業務に即した形で、動作検証して選定します。

情報システム部門は、主に技術者ですから、一部の例外を除いて、大半が検証結果で希望の機種を判断しますが、この場には、たいてい、購買部門の存在があります。

購買部門は、なにをするかというと、いかにコストを抑えて、PC を買うかが最大の役割だと私の目からは見えます。

私自身が購買部門で働いた経験がないのに、なぜ、そんなことが言えるかというと、情報システム部門からの生の声をたくさん、聞いているからです。

たとえば、こんなことがありました。情報システム部門のメンバーは、ものすごくThinkPad(レノボの法人向けノートPC)を気に入っている。ThinkPad の古くからのファンでもあるし、動作検証も問題ないから、ぜひとも、導入したい。

でも、価格が他社より若干高い。

社長の声が大きい、中小企業などであれば、若干の価格差なら、トップダウンで、意思決定される場合もあるでしょう。

大手企業の場合は、購買ルールが定型化されていたりするので、リバースオークション(一番安い入札者が落札する仕組み)といって、どんなに気に入った機種があっても、一番安い機種が選定されるケースがあります。

大手企業の内部は政治の世界のよう?

情報システム部門の内部が、ちゃんと意思統一されているかというと、そんなことはありません。

1,000名以上の社員がいる、大手企業だと、情報システム部門や情報システム部門を切り出した子会社が、数十名、数百名規模になります。(情報システム部門を社外のシステムインテグレーターに丸投げしているケースだと、数名ということもありますが、それは例外ケースです)

1つの例でいえば、情報システム部門で部長クラスのような意思決定者(承認権限を持つ人)が複数名いると、仲違いが起こるときがあるのです。

定年が近く、既存のPCメーカーを変えるような冒険をしたくない保守派、先進的なPCを導入して、採用したPCメーカーが作成する導入事例の販促チラシに顔写真とともに掲載されたり、メディアに登場する、セミナーに登壇するなどして、名を上げ、出世を狙う急進派。社外の関係者もいる打ち合わせで、社内の人同士、口喧嘩になる、恫喝する、現場にも何度か遭遇しました。

まるで、政治の世界、いわゆる社内政治です。

SE(システムエンジニア)の社内政治に関して、なかなかおもしろいブログの記事を見つけたので、こちらも興味あればみてみてくださいね。

まとめ

さて、今回はこの辺で。

社員が1,000名以上となると、PCを一斉に入れ替えて導入するとなれば、費用は、1台10万円として、1,000台なら、1億円ですからね。

大手企業といえども、費用もさることながら、社員1人1人が直接使うPCですし、大きなイベントになります。色々ことが起こるのはある意味当然かもしれませんね。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!
The following two tabs change content below.
ソニーの情報システム子会社で、5万人以上のユーザー向けの社内ヘルプデスクや、認証サーバ・メールサーバの運用を経験。その後、日本マイクロソフトや、レノボ・ジャパンで、大手法人営業のプリセールスSE を担い、ソフトウェアからハードウェアまで幅広い知識と経験を持つ。現在はIT企業、株式会社ワークスピーディーの代表取締役。 詳しくはこちら → プロフィール