1,000台以上の法人向けPCの動作検証について


Windows PC
geralt / Pixabay
大手法人向けのPCビジネスに関して、全く異業種の知らない人と話しているとき、私が1,000台以上のPC案件を担当することもある、と言うと、驚きを通り越して、ポカンというか、全然想像つかない顔をされる経験を何度かしました^^;

確かに私もレノボに入るまでは、正直具体的なイメージがわきませんでしたよ。大量のPC、見たことないですもん。

さて、そんな大量のPCが導入される前の動作検証について、どんだけ興味を持つ人がいるかわかりませんが、プリセールスSEの視点から、 1,000台以上のPC案件では、技術的にどんな活動をしていたのか、過去を振り返りながら書いてみますね。

どんなふうに検証する?

1,000台より少ないPC案件と何が違うかというと、プリセールスSEとして関わるうえでは、PCの台数が、数十台、だろうが、数千台、数万台だろうが、技術面でいえば大きな違いはあまりありません。

台数が多いと、現場の様々な部署が関わり、検証もその現場のシステム環境で行うので、検証機の台数が、おのずと多くなる場合があるというぐらいです。

PCとしてチェックされる部分でいえば、主に以下のような箇所になりますね。
項目内容
BIOSカスタマイズの設定をしたときの動作
CPUやメモリ直感的な動作速度やパフォーマンス
グラフィック・カード画面動作や動画の動きに関わる箇所
ネットワーク有線LAN、無線LANの接続動作、速度
ポート類USBを始めとした動作
ディスプレイ接続動作(ノートPCならデュアルモニタ)、描画表示
カメラ、マイク、音声主にテレビ会議をしたときの動作
トラックポイントやタッチパッド(ノートPCの場合)動作・設定
他に、機種によって、SDカードやBluetooth、指紋センサー、TPM(セキュリティチップ)などの搭載可否や利用の有無があるので、それらの動作も必要に応じて、チェックされます。

規模の大きい、小さいに関わらず、細かい部分で、結構チェックポイントがあるんですよ。

そんな動作検証のさなかに、トラブルや質問があったりするので、それを一個一個、クリアしていくのが、プリセールスSEの仕事になりますね。

取り立てて、大規模だから、こんな検証がある!という点がなくて、意外でした?

(事務用のPCでなく、特殊な利用環境の場合、例えばガス会社のサービスマンが使うとか、の環境では、この限りではありませんからね、念のため)

検証用イメージ、マスターイメージは小規模な案件と違う?

検証用のイメージやマスターイメージに関しても、環境の違いはそんなないんですが、先ほど、さらっと検証台数が多いと、書きましたよね。ここが大変なところで、検証環境の種類も多くなる場合があります。

そうなれば、何が起きるかというと、OSの種類をいくつもそろえないといけないんですよ。

(4種類 のOS)
Windows 7 Professional 32bit
Windows 7 Professional 64bit
Windows 8.1 Professional 64bit
Windows 10 Professional 64bit

そして、マシンの種類が3種類・・・

(対象PCの例)
ThinkPad X260
ThinkPad X1 YOGA
ThinkCentre M900 Tiny
1機種あたり、2種類のOSがもし必要だとすると、 3 X 2で、6種類!

のOSイメージが必要になりますからね。

5,6種類ぐらいの環境を用意することになれば、なかなか、しんどい作業になります。

本番環境に近い環境を準備するとなれば、OSをまずクリーンインストールしてから、ドライバーを1個1個当てていくことになりますから、
1機種あたり、約2時間として計算すると・・・ 6 X 2で、12時間!
1日では終わらないこともありますね。

しかも、そのイメージが検証に使われ、案件獲得に影響するだけでなく、そのままマスターイメージとして、本番環境で使われるケースもなかにはあるわけで、ミスのないように作業しないといけないので、数千台規模の案件となれば、なおさら、ちょっとドキドキしながら仕事していましたね。

さらに、このイメージのバックアップを、DVD-RやUSBメモリのメディアから復元できるようにすること、とかいう要件があると、そうした検証も事前にするので、まあ気が抜けませんし、時間がかかります。

まとめ

大規模なPC案件の動作検証というマニアックな裏事情について、書いてみましたがいかがでしたか。

あらてめて振り返ると、イメージを準備する部分で、OSをクリーンインストールしてから、「ドライバーを1個1個当てる作業」がかなり非効率でアナログ作業ですね。

もっと効率化できないか、と思ってますし、質問を受けたことが何度もあるのですが、インストールしたあとに再起動が必要なドライバーがまだいくつもあって、バッチファイルでまとめてインストールすると不具合が起きるときがあるんです。

だから、正確な検証が求められる、検証用イメージや、マスターイメージを作る場合なら、ドライバーをまとめてインストールは、全く推奨できませんね。

もどかしいところなんですよ。

このあたりは、まだまだ技術の進化の余地がありますね。
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ソニーの情報システム子会社で、5万人以上のユーザー向けの社内ヘルプデスクや、認証サーバ・メールサーバの運用を経験。その後、日本マイクロソフトや、レノボ・ジャパンで、大手法人営業のプリセールスSE を担い、ソフトウェアからハードウェアまで幅広い知識と経験を持つ。現在はIT企業、株式会社ワークスピーディーの代表取締役。 詳しくはこちら → プロフィール