ITの技術的な話から少し離れたことを書きますね。シリーズ化して書くつもりです。
私はプロフィールの経歴でも書いたように、レノボ・ジャパンというコンピューターメーカーに5年8ヶ月在籍して、大手法人向けのアカウントSE(プリセールスSE)をしていました。
アカウントSE(プリセールスSE)の仕事に関してピンと来なければ、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。分かりやすいですし、なかなか読み応えのある内容です。
営業のような名前ながら最新技術や事例に詳しく、タダ(?)で相談に乗ってくれる「プリセールス」という職種がある。仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリストの小川大地氏が、なかなか姿を見せない“レアキャラ”の実態、そして日本のITインフラの「ここが変!?」な部分をさっくりと説明していく。
今回のシリーズでは主に民間企業が対象です。
大手企業の PC はどうやって購入される?
PC業界の人にとっては、常識ですが、9割以上が情報システム部門が窓口になり、競合各社で、価格を競わせながら、各社のPC を実業務に即した形で、動作検証して選定します。情報システム部門は、主に技術者ですから、一部の例外を除いて、大半が検証結果で希望の機種を判断しますが、この場には、たいてい、購買部門の存在があります。
購買部門は、なにをするかというと、いかにコストを抑えて、PC を買うかが最大の役割だと私の目からは見えます。
私自身が購買部門で働いた経験がないのに、なぜ、そんなことが言えるかというと、情報システム部門からの生の声をたくさん、聞いているからです。
たとえば、こんなことがありました。情報システム部門のメンバーは、ものすごくThinkPad(レノボの法人向けノートPC)を気に入っている。ThinkPad の古くからのファンでもあるし、動作検証も問題ないから、ぜひとも、導入したい。
でも、価格が他社より若干高い。
社長の声が大きい、中小企業などであれば、若干の価格差なら、トップダウンで、意思決定される場合もあるでしょう。
大手企業の場合は、購買ルールが定型化されていたりするので、リバースオークション(一番安い入札者が落札する仕組み)といって、どんなに気に入った機種があっても、一番安い機種が選定されるケースがあります。
大手企業の内部は政治の世界のよう?
情報システム部門の内部が、ちゃんと意思統一されているかというと、そんなことはありません。1,000名以上の社員がいる、大手企業だと、情報システム部門や情報システム部門を切り出した子会社が、数十名、数百名規模になります。(情報システム部門を社外のシステムインテグレーターに丸投げしているケースだと、数名ということもありますが、それは例外ケースです)
1つの例でいえば、情報システム部門で部長クラスのような意思決定者(承認権限を持つ人)が複数名いると、仲違いが起こるときがあるのです。
定年が近く、既存のPCメーカーを変えるような冒険をしたくない保守派、先進的なPCを導入して、採用したPCメーカーが作成する導入事例の販促チラシに顔写真とともに掲載されたり、メディアに登場する、セミナーに登壇するなどして、名を上げ、出世を狙う急進派。社外の関係者もいる打ち合わせで、社内の人同士、口喧嘩になる、恫喝する、現場にも何度か遭遇しました。
まるで、政治の世界、いわゆる社内政治です。
SE(システムエンジニア)の社内政治に関して、なかなかおもしろいブログの記事を見つけたので、こちらも興味あればみてみてくださいね。
まとめ
さて、今回はこの辺で。社員が1,000名以上となると、PCを一斉に入れ替えて導入するとなれば、費用は、1台10万円として、1,000台なら、1億円ですからね。
大手企業といえども、費用もさることながら、社員1人1人が直接使うPCですし、大きなイベントになります。色々ことが起こるのはある意味当然かもしれませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
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小松 英二
代表取締役 : 株式会社ワークスピーディー
ソニーの情報システム子会社で、5万人以上のユーザー向けの社内ヘルプデスクや、認証サーバ・メールサーバの運用を経験。その後、日本マイクロソフトや、レノボ・ジャパンで、大手法人営業のプリセールスSE を担い、ソフトウェアからハードウェアまで幅広い知識と経験を持つ。現在はIT企業、株式会社ワークスピーディーの代表取締役。
詳しくはこちら → プロフィール
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