「1,000台以上の法人向けPCのオーダー(注文)から納品されるまで(前編)」の後編です。
前回は、PCのオーダー(注文)が入るまでの動きと、どんなふうにオーダーがくるか、についてふれました。
今度はオーダーを入れた(処理した)あとのこと、納品までのお話です。
オーダーを入れたあとは?
担当営業は、一息つけますね。ただ、ここから、工場側に製造の指示を出したPCが、予定通りに出荷されるのか、気をもむことになります。出荷までのスケジュールを工場側の状況を知る担当者に確認したり、それをお客様や、販売パートナーに報告したり、といった活動が続くのです。
レノボだけに限りませんが、中国でPCを製造している場合、出荷までに1、2週間かかります。出荷までとは、PCを作り始めてから、製品化をした(完成した)PCが配送可能な状態になるということ、です。
マスターイメージ作成用のPCが事前に届く?
マスターイメージの作成に関しては、この記事に書きましたので、参考にしてくださいね。 正式にオーダーを入れる前に、マスターイメージ用のPCを1モデルにあたり数台、事前にオーダーしている場合があります。それがお客様のもとに、実際の納品日より数日~数週間前に届くのです。
PCの選定がされたあとは、PCの納品スケジュールが、お客様から指示されますので、そのスケジュールに合わせて、PCのキッティング作業が行われるわけで、その前に、マスターイメージを作成していなければなりません。
そうしないと、納品スケジュールに遅延が生じて、大きな問題となります。
PCメーカーだけではないと思いますが、ハードウェアを製造しているメーカーにとって、納期を守るのは当然のこと。
守れなければ、営業ではどうすることもできないので、強烈なクレームになってひたすら謝らなければならなくなり、信用がなくなる、イメージが悪くなる、場合によっては、損害賠償請求に発展するなどイイことは全くありません。
私は、パッケージソフトウェアのメーカーで、プリセールスSEをしていたので、ソフトウェアとハードウェアのメーカーとの決定的な違いは、納期がある点だと痛いほどに感じました。
納期の問題は、お客様や販売パートナーの矢面に立つ、担当営業にとって、本当に胃の痛い思いをする種で、それが理由で、ハードウェアメーカーから、納期の件でストレスのない、ソフトウェアメーカーに転職した知人が何人かいます。
出荷可能になったPCはどうやって日本に?
2つの輸送方法があります。飛行機の場合だと、船による輸送に比べて2倍以上早く運べます。ですが、その分、輸送費が高くなり、PCの費用に、普通は上乗せされるわけですが、要求されている納期に間に合わせるために、メーカー側がその余分な輸送分を負担して、利益を削るケースもあるのです。
- 飛行機
- 船
ソフトウェアメーカーだと、輸送は、イコール、ダウンロードなわけで、コストはほぼゼロ(クラウドサービスでAWSやAzureだと、ダウンロードのデータ量に応じて課金されるようですが)。
飛行機なら、空なので、墜落する事故がない限り、予定通りに届きます。天候で遅れたようなことはほとんど聞いたことがありません。
船の場合だと、海を輸送ルートとして使うわけで、天候に左右されるような自体があったり、一時、ニュースに頻繁に取り上げられていましたが、現代の海賊の問題もあり、普段とは違う、距離の長い、安全な輸送ルートを使うことで、輸送に余計な日数がかかることもあります。
飛行機にしろ、船にしろ、海外からものを運ぶわけで、それならば、日本で製造すればいいのに、と思うかもしれませんが、やはり人件費が日本の方が高くコストが高くなる、という課題があり、コストを考えると、中国で製造という手段が普通です。レノボの場合は、NECPCがグループ会社に含まれますので、PCのモデル、ならびに、案件の内容により、山形県の米沢事業所にある工場で、製造されるケースも一部あります。
米沢生産モデル | お知らせ・特集 | LenovoPRO | レノボジャパン
https://www.lenovo.com/jp/ja/lenovopro/news/japan-made-and-support/
NECパーソナルコンピュータ株式会社米沢事業場 – 技あり米沢
http://wazaari.biz/db/necp/
さて納品!
一般のお客様用と違って、特定の法人のお客様向けなので、いきなりエンドユーザーのもとに届けられるわけではありませんね。中国から送られるPCが、必ず通る保管先の倉庫があります。なんとかロジスティクスとか、そんな物流会社です。
その前に、、、輸入品は、税関を通らないといけません。そこでまれに、時間がかかる場合もあるのです。
日本に届いたPCは、一時保管先の倉庫から、キッティング業者の元に運ばれ、お客様先に合わせたカスタマイズが施され、お客様のもとに配送、納品されます。
もうこれで終わり!と思いましたか?
初期不良交換
製造されたPCは、100%動作するかというと、全体のいくらかは、不具合のあるPCが混じってます。出荷前に検査はクリアしているわけですが、飛行機や船などでPCは移動して、その間、PCは、揺れたり、暑い寒い、湿気があるなどの環境にさらされますよね。いろんな原因はあるんですが、精密機器なので、最初から動作のおかしい、初期不良のPCがあるのです。初期不良のPCは、どう処理されるかというと、通常、現物は返品されて、新しいPCを製造し直します。もちろん、お客様が払う、追加の費用はありませんが、納品までの時間がネックです。
まとめ
前編、後編と、2回に渡って、1,000台以上の法人向けPCのオーダー(注文)から、納品されるまでの流れを説明しました。あらためて思い返してみると、いろんなプロセスがあり、様々なことが起きます。スムーズにいくことは稀です。
ただ、その大変さと引き換えに、例えば、担当した大学のお客様に導入されて、大量のPCが、PC教室や、授業で使われている様子を実際に見ると、嬉しさがありますね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
前編はこちらです。
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小松 英二
代表取締役 : 株式会社ワークスピーディー
ソニーの情報システム子会社で、5万人以上のユーザー向けの社内ヘルプデスクや、認証サーバ・メールサーバの運用を経験。その後、日本マイクロソフトや、レノボ・ジャパンで、大手法人営業のプリセールスSE を担い、ソフトウェアからハードウェアまで幅広い知識と経験を持つ。現在はIT企業、株式会社ワークスピーディーの代表取締役。
詳しくはこちら → プロフィール
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